現在主流で人気の補聴器は、コンパクトで軽量、目立ちにくいものであることが絶対条件のようになっていますが、そもそも補聴器はなぜ隠さないといけないのでしょうか?
聴覚障害を抱える方によっては、聴覚障害であるということを隠したいという方も居ますが、隠したいと思っていない方も多いと思います。
音が聞こえない聴覚障害者の方にとって、補聴器は身近なヒーローのような存在なのに、なぜ?
これは、耳が聞こえる健聴者の方も同じで、「なんとなく耳が聞こえないことや、補聴器に触れないほうがいい」と認識している方が多いです。
このようなイメージを変えるために立ち上がったのが、ブランド「彩希(あき)〜Beautiful Ear〜」の松島亜希さんです。
今回は、デコ補聴器の開発者がなぜデコレーションされた補聴器を作ったのか、そのデコ補聴器はどこで買えるのかについてご紹介いたします。
「アート補聴器「十彩」-toiro」のデコ補聴器とは?

補聴器は肌に近い色で、目立ちにくいコンパクト型が人気ですが、あえて洋服のように補聴器を着飾る「デコ補聴器」が、SNSに登場して話題となりました。
「私にとってのデコ補聴器・デコチップは「世の当たり前」を変えていきたい希望と夢、意思そのものなんよ。」(松島さんのTwitter投稿より抜粋)
この文章と共に投稿されたデコ補聴器の画像は、ネイルやこだわりの服を楽しむように、鮮やかにデコレーションされた補聴器の画像でした。 ここからは、このデコ補聴器の開発者であるブランド「彩希(あき)〜Beautiful Ear〜」の松島亜希さんが、なぜデコ補聴器を開発したのかについてご紹介いたします。
服を選ぶように、補聴器も
現在主流の補聴器は、服のデザインやシーンになじみ、目立たないようにシンプルなベージュ色やコンパクトなデザインとなっています。
それはまるで、「音が聞こえない」ということをも隠そうとしているようで、補聴器を必要とする方にとって、補聴器は身近なヒーローのような存在なのに、付けることに抵抗を感じる流れが根強くある。
デコ補聴器を開発した松島亜希さんは、一般的な補聴器に対してこのように感じていたと言います。
重度感音性難聴である松島さんの作るデコ補聴器は、ラインストーンをちりばめたものや、シックな和柄のものまで多種多様なデザインなのが特徴です。
人は洋服を選ぶときに、それぞれの場にふさわしい装いに着替えます。 補聴器の装いも、洋服を着替えるように手軽に変えることができれば、こだわりの服を選ぶように、こだわりの補聴器にできたらという思いで、デコ補聴器の開発を始めたそうです。
補聴器が「それいいね!」になるように
開発者の松島さんは、1歳半過ぎから補聴器を両耳に装着しています。
そうした中で、大学生のころからレクリエーションキャンプのリーダーを務め、多くの子供たちと接してきました。
しかし子供の視線が補聴器に向くものの、松島さんが気づくと子供たちは目をそらして、必要以上に気をつかわれるシーンが多かったそうです。 松島さん自身は、補聴器を見られることや、耳について質問されることに対して抵抗がなかったので、補聴器がもっとポジティブで身近なものになって、「それいいね!」という話題を自然と引き出せないかなと考え始めたことが、デコレーションをするきっかけだったそうです。
ブランドとショップを設立
このような経験から、松島さんは補聴器のデコチップ構想を頭の中で組み上げていくことになり、試行錯誤(しこうさくご)を繰り返す中で、まずはマニキュアを補聴器にたらしてみようとしました。
すると補聴器が溶けてしまい、失敗。「これは、専門家と連携(れんけい)しないとダメだな…」と感じた松島さんは、SNSでデコ補聴器に興味がありそうな人を探しました。
デコ補聴器に対して最も熱意を向けてくれたのが、西部補聴器の店長で、認定補聴器技能者の北村美恵子さんでした。
北村さんはもともと服飾デザイナーを目指していた経験があって、アパレル業界に居たという経歴があったため、デコチップの製作も手がけてくれたそうです。
2019年4月に、松島さんと北村さんによる共同開発がスタートし、5人の補聴器・人工内耳ユーザーに対してサンプリングモニター試用期間を経て、同年7月に補聴器用デコチップの販売が開始されました。
さらに9月にはブランド「彩希(あき)〜Beautiful Ear〜」の立ち上げ話がまとまりました。
現在松島さんは、デコ補聴器を希望する補聴器ユーザーの好きなイメージやデザインをヒアリングしてから、オーダーメードでデコチップを作成しています。
補聴器用デコチップは1枚1枚手作業で製作し、一度購入すれば繰り返し使用することができるので、プライベートや特別なおでかけ、パーティーに参加する時に、補聴器もファッションのひとつとして着飾って、シーンに合わせて装いを変えることを楽しむことができると話しています。
「アート補聴器「十彩」-toiro-」でデコ補聴器を注文する方法

すでにデザインされた既製品はBASEで販売されていますが、東京都福生市にある「西部補聴器」でも販売しているそうです。
西部補聴器近辺にお住まいの方であれば、直接手に取ってデコ補聴器を選んだり、フルオーダーメードで注文することが可能です。
さらに、「アート補聴器「十彩」-toiro-」公式サイトからもデコ補聴器(アートカバー)をオンライン上で注文することが可能です。 ここからは、「アート補聴器「十彩」-toiro-」でデコ補聴器を注文する方法について解説していきます。
1.公式LINE、問い合わせフォームより問い合わせをする
「アート補聴器「十彩」-toiro-」のホームページ上にある「公式LINE友達追加はこちら」、もしくはページ下部にある「問い合わせフォーム」より、デコ補聴器を注文したい旨を伝えます。 注文だけではなく、注文前の質問にも対応しているとのことですので、何かわからないことがあったら事前に質問しておきましょう。
2.メールにて打ち合わせ
問い合わせ後は、メールでデザインの打ち合わせや決定を行いますが、関西圏であれば対面での対応も可能です。 プランは、以下の「A」と「B」があります。
- Aプラン…デザイン画の持ち込み 12,100円(税込)〜
- Bプラン…十彩スタッフによるデザイン画作成 19,800円(税込)〜
アートの難易度や作業時間によって価格が変動しますが、作業時間2時間は基本料金に含まれ、3時間で+1,100円(税込)、4時間で+2,200円(税込)が別途追加されます。
また、スワロフスキーやストーンなどはオプション料金となっており、希望のデザインでストーンの指定がある場合は追加料金がかかることを理解しておきましょう。
最後に、両耳に補聴器を装着していて、両方の補聴器のデザインを依頼したい場合は、2,000円の「両耳割引」があります。 例えば、12,100円(税込)のものを2枚購入する場合は、通常12,100円×2枚=24,200円の料金になりますが、2,000円割引になるので、合計金額は22,200円(税込)となります。
3.振り込み
デザインが決まり、実際にデコ補聴器を製作していくまえに入金を行います。
入金確認後にサンプルを作っていきますが、サンプル作成後にキャンセルする場合は1枚作成で50%、2枚作成で75%、3枚で100%のキャンセル料が発生します。
また、振り込み後は補聴器のダミーを製作するのに必要な、型取り用シリコンが発送されます。
このシリコンを使って型取りを行う必要があるということを覚えておきましょう。
4.製作、納品
サンプル画像をお互いに確認しながら、2週間程度でデコ補聴器が完成します。
先ほどのシリコン型取りを行った型は、十彩にシリコン型が届いてから2週間後の納品となります。
まとめ

「補聴器は隠すもの」という認識から、ネイルやこだわりの服のように、着飾る補聴器になれば、「それ、すてきだね」と話題が増え、補聴器に対するイメージがより明るくなります。
服装やシーンに応じて、着脱できるデコ補聴器であれば、音が聞こえない人にとって欠かせない補聴器が、身近なヒーローとして「つけたくなる補聴器」になるのではないでしょうか。
デコ補聴器は十彩さんだけではなく、キタムラさんのデコチップも有名です。
あなたにあったデコ補聴器で、より補聴器がある暮らしを明るく楽しいものにしてみませんか。