「アメリカ手話を学べるところはないかな?」
このように思ったら、ぜひ日本ASL協会のホームページを閲覧してみましょう。
日本ASL協会は、毎年アメリカからアメリカ手話の講師を招き、1年間のアメリカ手話講座を開設しています。
アメリカ手話を本場アメリカの方から学ぶことができる貴重な場になっているので、アメリカ手話に興味がある方におすすめです。
今回は、ASL協会とは何?どのような活動をしているの?アメリカ手話ができる人が不足している現状と影響、アメリカ手話ができるメリット、奨学金制度について解説していきます。
NPO法人日本ASL協会とは?

「アメリカ手話を本格的に学べるところ」であるASL協会は、さまざまな事業を展開しています。
ここからは、ASL協会の事業内容と、アメリカ手話が必要な理由について解説していきます。
アメリカ手話を始めとする外国手話普及を行う団体
アメリカ手話言語であるASLの学びの場や、情報交換・交流、講演会、派遣など、幅広い事業を行うNPO法人日本ASL協会。
ASL講師派遣事業や、ASL通訳派遣事業も行っているので、ASLについて学びの場を提供したい方や、国際会議の場で手話通訳を行って欲しいというニーズにも応えてくれます。
アメリカ手話・国際手話ができる人が不足している
海外から日本に訪れる方が増えている一方で、アメリカ手話ができる人が不足しているという課題があります。
特に、日本で暮らすろう者の外国人の方は、一般の日本語学校で日本語を学ぶことが非常に難しいので、日本での生活に不自由を感じています。
外国人ろう者の方が、日本語がわからない状態で日本で生活していると、手話言語の違いの他に、筆談も困難になります。
日本人ろう者の方のコミュニティが少ない状況で、外国人ろう者の方が悩みを共有できる場はもっと少なく、異国の地で悩み、誰にも相談できない状況を彼らは抱えています。
常時アメリカ人手話講師による講座を開設している
ASL協会は、毎年アメリカからアメリカ手話講師を迎えて、アメリカ手話講座を常設しています。
1年間を4月〜9月の春期講座、10月〜3月の秋期講座の2期に分けて実施しており、春期講座は毎年2月に、秋期講座は毎年8月に生徒を募集しています。
初級と中級の2つのレベルにわけてアメリカ手話を学習していくので、個人のレベルに応じて講座を選ぶことができます。
【参照】学習の流れ・見学|日本ASL協会 https://www.npojass.org/aslclass/info
アメリカ手話・国際手話ができるメリット

世界にはさまざまな音声言語があるように、手話にもさまざまな手話言語が存在しています。
現在使用されている手話は、日本手話であるJSL、イギリス手話のBSL、アメリカ手話のASLの3つの他に、約300と言われています。
そのなかでもアメリカ手話の利用者は世界で約100万人とみられており、アメリカ手話ができるというだけでさまざまなメリットがあります。
ここからは、アメリカ手話ができるメリットについて解説していきます。
1.幅広いシーンでアメリカ手話を活用できる
アメリカから日本に訪れる方は、2015年にはじめて100万人を突破して以降、年々右肩上がりで増加しています。
観光や勉強・ビジネス、日本で暮らす目的で訪れるアメリカ人が多く、そのなかにはろう者のアメリカ人の方も居ます。
しかし、現状ろう者のアメリカ人の方へのサポートは少なく、異国の地で戸惑ってしまい、誰にも相談できないという状況になっています。
アメリカ手話ができれば、ビジネスシーンでの国際会議の場や、司法制度、政府機関、研修、さらにエンターテイメントなど、さまざまな事業でアメリカ手話を活用することができます。
2.アメリカ手話講師として活躍できる
アメリカ手話をマスターすれば、アメリカ人でなくてもアメリカ手話講師として活躍することができます。
あらたなビジネスとして、アメリカ手話講座を開設したり、アメリカ手話教室を開くことも可能です。
近年ではオンライン上で手話を学ぶ方も増えているので、クラウドソーシングサイトを利用してフリーランスとして手話講師になることもできます。
3.アメリカ人のろう者の方をサポートできる
日本に訪れたアメリカ人ろう者の方は、すべての方が日本語による筆談ができるわけではなく、スマートフォンの翻訳機能や翻訳アプリを利用して筆談しています。
しかしスマートフォンの翻訳機能や翻訳アプリは万能ではないので、日本語がおかしく伝わらないことも珍しくありません。
アメリカ手話ができれば、ろう者のアメリカ人の方が日本で快適に過ごせるようにサポートすることが可能です。
4.デフリンピックなど国際的な祭典で役立てる

デフリンピックとは、ろう者による国際的なスポーツの祭典です。
オリンピックやパラリンピックと同様に、4年に1度開催されていますが、まだ日本で開催されたことはありません。
しかし2025年に日本にデフリンピックを招致しようという活動が、全日本ろうあ連盟を中心に行われているので、日本でデフリンピックが開催されるのも夢ではありません。
アメリカ手話ができれば、このデフリンピックでアメリカ手話を利用する選手をサポートすることができます。
ろう者・難聴者は日本財団の給付型奨学金を利用できる

日本ASL協会では、「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」を行っています。
日本ASL協会の奨学金事業は、聴覚障害者の方の受け入れ体勢が整っている海外の教育や、専門機関で学び、修了後に留学経験を活かして、聴覚障害者コミュニティやろう者教育機関などの発展に貢献する志(こころざし)があるろう者、および難聴者・一部のきこえる方に対して、給付型の奨学金事業です。
奨学金を受けられる方は、以下の条件を満たす必要があります。
- 応募時に高校卒業以上
- 満18歳以上45歳くらいまで
- 外国語能力を証明する書類の写しを提出できる
海外でアメリカ手話を勉強する必要があるので、ある程度の英語力が求められます。
留学先の国や地域の限定はありませんが、留学先で外国語能力を証明するTOEICやTOEFL、IELTSなどの「英語力を証明する書類」の提出が求められるので、事前に受験しておくことをおすすめします。
【参照】聴覚障害者海外奨学金事業|日本ASL協会 https://www.npojass.org/nf/ryugaku
まとめ

日本ASL協会は、アメリカ手話普及のために講座開設や講演会の開催、アメリカ手話講師・通訳士の派遣など幅広い事業を展開しています。
現在、さまざまな理由で日本に訪れるアメリカ人の方は右肩上がりで増えていますが、アメリカ人ろう者の方へのサポートは手厚くありません。
そのため、アメリカ人ろう者の方は、異国の地で言葉が通じないという大きな壁を、誰にも相談することができない状況になっています。
アメリカ手話ができれば、さまざまなシーンで求められる人材になれる他に、日本に訪れたアメリカ人ろう者の方をサポートできたり、デフリンピックでアメリカ手話を活用して選手をサポートすることが可能です。
ASL協会では奨学金制度を設けているので、本場アメリカでアメリカ手話を学ぶことも可能になっています。
「本格的なアメリカ手話を学びたい」と思ったら、日本ASL協会の情報をチェックしてみましょう。