デフリンピックとは?出場するための条件や方法

4年に一度、各国で開催されるオリンピックやパラリンピックは、多くのひとびとへ感動を届けてくれる他に、こどもたちに夢を与えてくれる世界的なスポーツ大会です。

そのなかでも、「デフリンピック」について知っている方はどのくらい居るでしょうか?

今回は、デフリンピックとは?歴史や種目から、出場するための条件・方法について詳しく解説していきます。

目次

デブリンピックとは?

耳が聞こえない聴覚障害者の方は、健聴者と比べるとスポーツをするうえでさまざまなハンディキャップがあると言われています。

例えば、体のバランスをとる役目がある耳が聞こえないということは、バランスがとりにくく、スポーツを行ううえで不利になります。

またコミュニケーション時の情報量も、耳が聞こえないことで少なくなるため、例えば「パスするよ」「パスちょうだい」などの声のコミュニケーションの他に、風の音や打球音、スポーツ用具の音などを感じられないというハンディキャップがあります。

デフリンピックは、聴覚障害者の方のためのスポーツの祭典で、耳が聞こえない方へさまざまな配慮を施した工夫がされています。

ここからは、デフリンピックとは?工夫していることや歴史、種目について解説していきます。

ろう者のためのスポーツの祭典

デフリンピック(Deaflympics)とは、耳の聞こえないアスリートのためのオリンピックのことです。

デフリンピックは国際的な「ろう者のためのオリンピック」で、オリンピックと同じく4年に1度開催されます。

各種目のルールはオリンピックとほぼ同じですが、耳が聞こえない人のために、例えばスタートの合図を「目」で見えるように、サッカーでは審判が旗(はた)を使用したり、陸上競技ではランプと音響(おんきょう)装置を使用します。

100年の歴史を誇る

デフリンピックが開かれたのは、1924年フランスでした。

このとき、夏季大会が行われて9か国145名の選手が出場し、これまで100年の歴史を誇ります。

2017年に開催された第23回のデフリンピックでは、過去最高の100か国の国と地域、約3,100名の選手が出場して話題になりました。

しかしまだ日本でデフリンピックは開催されておらず、日本でデフリンピックが開催されれば、聞こえない人にとって日本が今よりも暮らしやすく、良い社会になることが期待されています。

夏・冬でさまざまな種目を行う

デフリンピックはオリンピックと同じく、夏季大会と冬季大会で異なる種目を競います。

夏季大会では、以下の20種目を競います。

  1. 陸上
  2. バドミントン
  3. バスケットボール
  4. ビーチバレーボール
  5. ボウリング
  6. 自転車
  7. サッカー
  8. ゴルフ
  9. ハンドボール
  10. 柔道
  11. 空手
  12. マウンテンバイク
  13. オリエンテーリング
  14. 射撃
  15. 水泳
  16. 卓球
  17. テコンドー
  18. テニス
  19. バレーボール
  20. レスリング(フリースタイル・グレコローマン)

※2017年デフリンピック種目より

2025年に日本で開催できるよう活動を進めている

2021年に開催された、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に続いて、デフリンピックを開催することを、全国ろうあ連盟は東京都聴覚障害者連盟とともに、2025年にデフリンピックを日本で開催できるよう取り組んでいます。

日本は先進国と比べると、まだまだ聴覚障害を含むさまざまな障害を抱える方が暮らしやすい社会になっているとは言い切れません。

デフリンピックが日本で開催されれば、街や心のバリアフリー化、パラスポーツの発展、聴覚障害や手話言語への理解、情報アクセシビリティの環境整備がより一層(いっそう)進むのではないでしょうか。

【参照】「デフリンピック2025招致」について、区市議会へ要望書を提出(東京都聴覚障害者連盟)|一般財団法人 全日本ろうあ連盟 https://www.jfd.or.jp/deaflympics2025/tokyoshochi

デフリンピックの出場条件・出場方法

「スポーツが好き」「スポーツでもっと上を目指したい」という聴覚障害者の方は、デフリンピックに出場することができますが、デフリンピックには出場条件が定められています。

ここからは、デフリンピックの出場条件、出場する方法の他に、デフリンピックを応援する方法についてご紹介いたします。

デフリンピックの出場条件

  • 「ふつうの声」で会話(55㏈)が聞こえない人
  • 記録と順位が優れている人

デフリンピックに出場するためには、上記2つの条件を満たす必要があります。

「ふつうの声」で55㏈の会話が聞こえないとは、補聴器を付けずに耳で音を聞き取る力のことです。

60㏈でふつうの声の大きさの話し声、70㏈は掃除機の音、100㏈は車のクラクションやジェット機の音の大きさと言われており、50㏈が聞こえない人は補聴器などがなければ日常生活が難しいと言われています。

聴覚障害者の方のためのスポーツ大会では、練習の際や各大会では補聴器などの聞こえをサポートする器具を外し、「耳の聞こえない立場で公平にプレー」します。

また、記録と順位がすぐれている人とは、「全日本ろうあ連盟」、各国では「ろう者スポーツ協会」に登録されている各大会で、記録や順位など出場条件を満たした選手である必要があります。

デフリンピックに出場する方法

  1. 自分が得意なスポーツのデフスポーツ競技団体、もしくは住まいの都道府県のろう協会に相談する
  2. 「全国ろうあ者体育大会」など、競技団体が行う合宿や大会に参加する
  3. 各競技団体が定める「強化指定選手」の条件をクリアする
  4. 「強化指定選手」として登録する
  5. 日本代表に選出される

デフリンピックに出場するためには、上記の5つのステップを踏む必要があります。

さまざまな方法でデフリンピックをサポートできる

デフリンピックは、旅行会社によるツアーに参加して直接会場で応援できる他に、ライブ放送や、デフスポーツ団体のホームページで、各競技の詳しいレポートが掲載されるのでチェックすることができます。

また、デフリンピック関連公式グッツの購入や寄付によって、デフリンピックに出場する選手が、日本で不便なく過ごせるためのさまざまなサポートをすることができます。

寄付は、一般財団法人 全日本ろうあ連盟実施の「デフスポーツの復興・啓発普及活動、全国ろうあ者体育大会やデフリンピック等国際大会」の項目で支援することが可能です。

【参照】全日本ろうあ連盟 支援・寄付金受付のご案内|一般財団法人 全日本ろうあ連盟 https://www.jfd.or.jp/about/shienkifu

まとめ

デフリンピックは、聴覚障害者のためのスポーツの祭典で、過去には夏季大会で20種目、冬季大会で5種目が競われました。

100年の歴史があるデフリンピックは、残念ながらまだ日本では開催されておらず、2025年に日本でデフリンピックが開催できるように、全日本ろうあ連盟などが招致活動を行っています。

デフリンピックが日本で開催されれば、耳が聞こえないことや手話などへの理解、情報アクセシビリティの発展など、聴覚障害者の方だけではなく、目に見えない障害を抱える方への理解、そして暮らしやすい社会にすることができるようになるのではないでしょうか。

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