【110番・119番どうする?】聴覚障害者が利用できる緊急通報システム4つの特徴と利用方法

AndroidやiPhoneでは、ロック画面を解除しなくても緊急通報ができるようになっていますが、電話として緊急通報ダイヤルにかかるので、聴覚障害者の方が利用するのは難しいです。

そこで今回は、聴覚障害を抱える方が110番や119番など緊急通報を行う際のやり方を4つご紹介いたします。

目次

119番・110番、聴覚障害者はどのように緊急通報を行えばいいのか

時代はスマホによる緊急通報システムを多く導入していますが、スマホや携帯電話の操作が難しい聴覚障害者の方はどのように通報すればいいのでしょうか?

ここからは、スマホの専用アプリや専用Webサイトによる聴覚障害者の方などに向けた緊急通報システムや、ファックス、緊急通報装置による緊急通報のやり方や導入方法を解説していきます。

【110番通報システム】警視庁の緊急通報アプリ「110番アプリ」

警察庁は、聴覚障害者の方などに向けて、電話で110番通報が利用できない方向けの専用アプリ「110番アプリ」をリリースしています。

この110番アプリは、チャット形式で最寄りの警察へ緊急通報できる仕組みになっており、写真を添付することができるのでスムーズな通報が可能です。

スマホのGPS機能を利用して位置情報を警察に伝えることができるので、正確な住所がわからなくても通報することができます。

110番アプリを利用するためには、無料のアプリをインストールした後に事前登録を行い、スマホのGPS機能をONにする必要があります。

この事前登録の際に備考欄があるので、聴覚障害者であることを書いておくと、警察が対応しやすくなります。

また、SMS(ショート・メッセージ・サービス)を利用してアプリが動作するので、契約しているスマホの回線が「日本国内の携帯電話会社」で「SMSやデータ通信が利用できる回線の契約」をしている必要があります。

110番アプリインストール後、「練習モード」で動作確認をすることができるので、万が一の時に備えて通報システムの練習をしておきましょう。

【参照】110番アプリシステム|警察庁

【参照】警察庁の緊急通報「110番アプリ」の運用開始について

【119番通報システム】消防救急無線「Net119緊急通報システム」

聴覚障害者の方が、火事や救急車を呼びたいときは、「Net119緊急通報システム」を利用することで、すぐに消防本部に通報がつながり、その後テキストチャットで詳細を伝えることができます。

平成29年10月から運用がスタートしたNet119緊急通報システムを利用するためには、事前に申請書に必要事項を記入して最寄りの消防本部に提出することで利用することができます。

申請書を提出する際は、以下の持ち物が必要です。

  • 手持ちのスマホや携帯電話(NTTドコモ・KDDI au・ソフトバンク(ワイモバイル)など)
  • 必要に応じて手話通訳ができる方の派遣

また、事前にスマホや携帯電話の設定で「web119.info」からのメールが受信できるように、迷惑メール拒否機能などを解除しておく必要があります。

申請書を提出した後に、あなたのメールアドレス宛に「web119.1nfo」からメールが届き、記載されたURLからNet119緊急通報システムの専用Webサイトアドレスがアクセスできます。

URLを開くと、「救急ですか?火事ですか?」と書かれた画面が表示されるので、「救急」か「火事」のどちらかをタップします。

その次に「どこにいますか?」と書かれた画面が表示されるので、「自宅」「外出先」「職場」「実家」のうち必要な項目をタップします。

「自宅」や「よくいく場所」の場合は、事前登録の時に記載した住所情報を利用して通報することができ、「外出先」の場合は、GPS測位によって正確な位置情報を伝えることができます。

Net119緊急通報システムは、令和3年6月時点で全国724本部中563本部の消防署で導入されており、2021年度末までに610本部に拡大される予定です。

【参照】Net119緊急通報システム|埼玉県南西部消防部

【参照】Net119緊急通報システム|総務省消防庁

【参照】「119番通報のバリアフリー化を」聴覚障害がある人が待望していた”スマホ緊急通報システム”【岡山発】|FNNプライムオンライン

ファックスによる緊急通報

聴覚障害者の方で、スマホや携帯電話の操作に慣れていない方の場合は、ファックスを利用して、110番や119番へ通報することも可能です。

110番通報の場合は、最寄りの警察署の電話番号へ。119番への通報は、そのまま局番なしで「119」でファックスを利用して通報することができます。

最寄りの警察署の電話番号を調べる際は、「全国警察署一覧」というサイトで、全国の警察署を都道府県別で調べることができます。

自治体によっては専用ファックス用紙をPDFファイルで配布している場合があるので、何枚か印刷しておき、ファックス機の近くに置いておくと安心です。

専用ファックス用紙はスムーズに通報できるようになっており、例えば千葉県警察が配布している専用用紙には、「いつ」「どこで」「何があったのか」「怪我の有無や犯人の特徴など」「その他」などが、○やチェックなどで簡単に記載できるようになっています。

【参照】ファックス110番緊急通報用紙について|千葉県警察

【参照】ファックスを利用した緊急通報番号は「119」番です!!|埼玉県南西部消防本部

緊急通報装置を利用する

自治体によって貸し出しされているかどうかが異なりますが、一人暮らしや高齢者宅などに対して、急病や災害時にすぐに通報できる「緊急通報装置」のレンタルを利用することができる場合があります。

例えば、大阪府枚方市が1,500円で貸し出しを行なっている緊急通報システムでは、NTTアナログ回線やその他回線で緊急通報装置を利用することができます。

緊急通報装置には、「相談」「通報」「取り消し」の3つのボタンがあるだけのシンプルな作りになっており、必要なボタンを押すだけで簡単に通報することができます。

「相談」ボタンを押した場合で、受信したのに応答がなく、親族などによる安否確認ができない場合は、係員が訪問して安否確認を行います。

しかし大阪府枚方市の場合は、市内在住のおおむね65歳以上で、一人暮らし、あるいは一人暮らしだと認められる場合の方のみが対象者になっています。

自治体によって緊急通報装置の貸し出しを行なっているか、対象者や料金が異なるので、必要な場合は市区町村役場に確認してみましょう。

【参照】緊急通報装置の貸与|枚方市高齢者しっとこサイト

【参照】みまもりサポート|ALSOK

まとめ

聴覚障害者の方が110番や119番の緊急通報を行う方法は、以下の4つの方法があります。

  1. 110番アプリ
  2. Net119緊急通報システム
  3. ファックスで緊急通報
  4. 緊急通報装置を利用して緊急通報

スマホや携帯電話の操作に慣れている聴覚障害者の方であれば、無料アプリをインストールしたり、事前登録を行なっていつでも専用Webサイトへアクセスできるようにしておけば、簡単に、どこでも、正確に緊急通報を行うことができます。

スマホや携帯電話の操作に慣れていない聴覚障害者の方の場合は、ファックスを利用して緊急通報を行うか、自治体や警備会社のみまもりサービスが貸し出しを行う緊急通報装置を利用して、簡単に緊急通報を行うことができるようになります。

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