障害によって人と「壁」を感じることが多いと思います。
この「壁」を感じさせない社会にするために活動している団体「インフォメーションギャップバスター」は、これまでさまざまな活動を通じて主に聴覚障害者が抱える「コミュニケーションの壁」を解消してきました。
今回は、インフォメーションギャップバスターとはどういう団体なのか、活動内容や支援する方法などについて詳しく解説していきます。
NPOインフォメーションギャップバスターとは?

聴覚に障害を抱える方は、「電話リレーサービス」が正式にインフラのひとつとして法案成立したことが記憶に新しいのではないでしょうか。
この電話リレーサービスの法案成立には、インフォメーションギャップバスターの署名運動がひとつのきっかけになっています。
では、インフォメーションギャップバスターとはどういう団体なのでしょうか?
ここからはインフォメーションギャップバスターについて解説していきます。
例えば「見えないバリア」があるとしたら…
「見えないバリア」とは、まるで皆との間にガラスの壁が隔(へだ)てているかのように、聞こえにくい人・聞こえない人にとって内容を理解するのが難しい様子を表した言葉です。
もちろん見えないバリアで例えたガラスの壁は仮想の話ですが、聞こえにくい人・聞こえない人にとっては心理的にガラスの壁があるイメージになります。
例えば、学校で先生が教えてくれていることがわからない、電車の事故のアナウンスがわからない、病院でお医者さんの説明がわからないなど、あらゆる場面でこのような現象が起こります。
このような現象を積み重ねることで、健康の差、知識の差、貧富の差など、あらゆる「差」につながってしまいます。
「コミュニケーションバリアフリー」を推し進める団体
NPO法人インフォメーションギャップバスターは、理事長でろう者の伊藤芳浩(いとうよしひろ)氏と約40名のメンバーの皆さんで2010年12月に設立した団体です。
「コミュニケーション・情報バリアを解消して、一人ひとりの価値を最大に発揮できる調和した社会を創る」ことを目的に活動しており、後述する電話リレーサービスや医療手話の普及活動、家族内や企業内でのコミュニケーションバリアを解消するために幅広い活動をしています。
「電話リレーサービス」が法案成立
インフォメーションギャップバスターが普及活動を行い、実際に法案が成立したものでは「電話リレーサービス」があげられます。
電話リレーサービスとは、令和2年6月の「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」が制定されたことで、公共インフラのひとつとして制度化したサービスです。
さまざまな企業や団体が電話リレーサービスを実施しており、過去にディアデフでも日本財団の電話リレーサービスを取り上げました。

100人に1人は耳にハンディキャップを抱えていると言われているなかで、聴覚に障害を抱えている方は少なく見積もっても100万人以上居ることになります。
これら多くの人々が、耳が聞こえにくい・聞こえないという理由から電話を利用できないと、警察や救急・消防への緊急電話の利用や、ビジネス、電話予約などさまざまなシーンで支障が起きる他、命に関わることもあります。
インフォメーションギャップバスターは、これまでの電話リレーサービスが24時間365日対応ではない点を指摘して、電話リレーサービスを義務化することを要望する署名活動を実施し、2020年6月に法案が成立されました。
講演・セミナーを通じて啓発活動を行っている
インフォメーションギャップバスターでは、啓発活動の一環として講演・セミナーを行っています。
大学や市民講座などで、一般市民を対象にコミュニケーションバリアの問題に関するセミナーや講演を実施して、聴覚障害者が抱える問題を認知してもてもらうことで、問題意識を持って解決行動を取るように呼びかけています。
また、聴覚障害にはさまざまなタイプが存在しており、聴力や話す言語、考える言語、手話の種類、話の理解の仕方などの多様性が存在していることを、当事者研究を通じて相互理解と支援のきっかけづくりを行っています。
インフォメーションギャップバスターの活動を支援できる

インフォメーションギャップバスターの活動に興味がある方は、「寄付」または「入会」で支援することが可能です。
ここからはインフォメーションギャップバスターの支援方法について解説していきます。
「寄付」で活動支援
インフォメーションギャップバスターの活動を応援する方法として、「寄付」があります。
コミュニケーションバリアフリー推進を進めるにあたって、以下の事業で発生する費用に寄付金があてられます。
- 例会や講演会での講師謝礼費
- 手話通訳やPC要約筆記通訳の情報保障の依頼費用
- 成果・実績のPR費用
- 透明マスクの配布などの社会貢献にかかる費用
- 事務局員への給与など事業運営費
インフォメーションギャップバスターへの寄付は、「Give one」「市民活動推進基金」「SoftBank つながる募金」「直接寄付」の4つの方法で寄付することができます。
【参照】寄付のお願い|インフォメーションギャップバスター https://www.infogapbuster.org/?page_id=1297
「入会」することでさまざまなメリットを得られる
インフォメーションギャップバスターに関心がある方は、定例会に参加した上で「入会」することで、以下のようなさまざまなメリットを得ることができます。
- やりたいテーマを事業化できるチャンスがある
- 現在進行中のプロジェクトで関心のあるものがあれば参加できる
- コミュニケーションバリアフリーの情報・イベント情報が入手できる
- 多様なバックグラウンドの人たちと意見交換ができる
- イベントに会員割引で参加できる
年会費は、個人で正会員/賛助会員で3,000円。企業で正会員/賛助会員で10,000円/口です。
正会員は総会での議決権や事業参加権、企画割引参加権があり、賛助会員は企画割引参加権があります。
また企業会員は、以下の特典を別途受け取れます。
- 1口…企業会員をWebサイトで紹介(月間8万PV)
- 3口…企業会員をWebサイトで紹介+メルマガ1回掲載
- 5口…企業会員をWebサイトで紹介+メルマガ1回掲載+Webサイトバナー
インフォメーションギャップバスターはフラットな団体なので、境界を感じさせず、誰もが自由に意見を述べたり、参加することが可能です。
もしインフォメーションギャップバスターに興味がある方は、入会を検討してみましょう。
まとめ

インフォメーションギャップバスターは、障害による壁を感じさせないコミュニケーションの円滑化のために活動を行っている団体で、これまで「電話リレーサービス」の制度化に貢献したという実績があります。
もしあなたがインフォメーションギャップバスターの活動に興味があるなら、「寄付」または「入会」で活動を支援することが可能です。
インフォメーションギャップバスターのような団体を応援することで、今後障害によって感じている「壁」を感じにくくなるかもしれません。