令和2年6月に「聴覚障害社等による電話の利用の円滑化に関する法律」が制定されたことで、公共インフラとしての電話リレーサービスが制度化されました。
法律に基(もと)づいて、さまざまな事業者が電話リレーサービスを提供していますが、ここでは固定電話だけではなく、スマートフォンやタブレット、PCでも利用できる日本財団の電話リレーサービスについて詳しく解説していきます。
日本財団の「電話リレーサービス」とは?

日本財団の電話リレーサービスは、聴覚や発話に困難のある人と、聴覚障害者などではない人との会話を、通話オペレーターが手話、または文字と音声を通訳することで繋がることができるサービスです。
ここからは電話リレーサービスの特徴や、利用にあたって必要なもの、利用料金について詳しく解説していきます。
通常の会話と緊急通報に対応
日本財団の電話リレーサービスは、24時間・365日対応なので警察や消防への緊急通報としても活用することができます。
これまでは聴覚障害者の方は、専用アプリ「Net119緊急通報システム」や「110番アプリ」の活用、またはFAXで最寄りの警察署や交番・消防署へ通報する必要がありました。
今回の日本財団 電話リレーサービスを利用することで、わずらわしい文字打ちや写真の撮影など不要で、即時に通報することが可能です。
また緊急通報以外に、例えばケーキやレストランを予約したいとき、仕事先の相手への連絡、学校や塾からの連絡、友達への連絡など日常でも活用することが可能です。
このとき、聴覚障害者の方が日本財団の電話リレーサービスから発行される050から始まる番号を、連絡をとりたい施設や店舗、家族や友人に伝える必要があります。
専用の番号に電話をかけることで、オペレーターを通じて発信や折り返しの電話を行うことが可能になります。
スマートフォン・タブレット・PCで通話ができる
日本財団の電話リレーサービスは、専用アプリや専用サイトを利用して電話をかけることができるので、固定電話がなくても、スマートフォンやタブレット、PCがあれば利用することができます。
スマートフォンやタブレットで電話をかける場合は、電話リレーサービスの専用アプリをインストールして、「開始」をタップします。
電話リレーサービス用電話番号と、パスワードを入力してログインすることで、相手先の電話番号を入力することができるので、電話をかけることが可能です。
通話方法として、手話または文字を選ぶことができ、通話オペレーターを呼び出す際も最大で1分程度でオペレーターと繋がることが可能です。
スマートフォンやタブレットで電話を受ける場合は、そのまま直接端末に着信を確認したらスライドして応答し、「電話リレーサービス」をタップします。
あらかじめ登録しておいた手話・文字のいずれかから、通話オペレーターが通訳して電話をすることが可能です。
PCで電話リレーサービスを利用する方法は、ブラウザより日本財団の電話リレーサービスにログインして、相手先の電話番号をダイヤルして発信します。
手話または文字の通訳方法を選択して、通話オペレーターと接続後、相手も通話オペレーターと接続が完了したら通話することが可能です。
PCで電話を受ける場合は、着信したことをデスクトップ上に通知されるので、通知をクリックして着信に応答することで通話することが可能です。
専用アプリで電話リレーサービスを利用する場合に緊急通報する場合は、アプリ上の「110(事件・事故)」「119(火事・救急)」「118(海上保安本庁)」のいずれかを選択して通話オペレーターと繋がります。
PCから緊急通報する場合は、ログイン後に「緊急通報ボタン」をタップして、110、119、118のいずれかを選択後に通話オペレーターと接続することが可能です。
通話にあたって必要なもの
- スマートフォン
- 固定電話
- タブレット
- PC
上記いずれかがあれば、日本財団の電話リレーサービスを利用することができます。
スマートフォンやタブレット・PCで着信したときに気づけるように、スマートウォッチと各端末を同期させておけば、振動とディスプレイ上の表示で着信に素早く気づくことが可能です。
利用料金
日本財団の電話リレーサービスの利用料金は、「月額料ありプラン」と「月額料なしプラン」のいずれから選ぶことができます。
月額料ありプランの場合、1分間あたり以下の料金になります。
- 月額料1番号あたり…178.2円
- 固定電話着…5.5円
- 携帯電話着…33円
- 緊急通報、フリーダイヤル…無料
※マーク料金はすべて税込み価格
月額料なしプランでは、以下の料金になります。
- 固定電話着…16.5円
- 携帯電話着…44円
- 緊急通報、フリーダイヤル…無料
※マーク料金はすべて税込み価格
月額料ありプランを月の途中で契約した場合、日割り計算した月額量となります。
月額料の発生は、初期パスワードを入力した日(初回ログイン日)が発生日となります。
支払い方法は、クレジットカードやDocomo、au、SoftBankのキャリア決済、コンビニや郵便局で利用できる払い込み票で支払うことができ、料金は毎月月末締め、翌月10日に請求されます。
【参照】電話リレーサービスとは|日本財団 電話リレーサービス https://nftrs.or.jp/about/
【参照】きこえない人等へ 利用方法|日本財団 電話リレーサービス https://nftrs.or.jp/howtouse2/
電話リレーサービスの申し込み方法

日本財団の電話リレーサービスを利用するには、事前の申し込みが必要です。
固定電話やスマートフォン、タブレット、PCなど用途に応じてさまざまな端末で利用したい方は、郵送あるいはアプリから申し込みが可能です。
しかしPCのみで利用を考えている方は、郵送のみで申し込みを受け付けています。
ここからは、日本財団の電話リレーサービスの申し込み方法について解説していきます。
アプリで申し込む
- スマートフォンやタブレットで、電話リレーサービスのアプリをダウンロードする
- アプリを起動する
- 「音声録音確認画面」「通知送信許可画面」が表示されたら「許可」をする
- 「新規登録」をタップする
- 動作環境を確認する
- 利用規約に同意する
- アプリの通知設定を「許可」
- 利用者情報を入力する
- 本人確認書類を添付する
- 入力内容を確認して、問題なければ支払い方法を選択する
アプリで申し込みを行った場合でも、郵送で電話リレー用電話番号と初回パスワードが届きます。
本人確認書類は、障害名が確認できる障害者手帳や、医師の診断書に加えて、運転免許証やパスポートなど顔写真付きの身分証明書が必要です。
郵送で申し込む
- 日本財団の電話リレーサービスのサイトからダウンロードして印刷、または資料を請求する
- 書類に必要事項を記入する
- 身分証明書や障害名がわかる書類を添付する
- 指定の送付先に送る
アプリで申し込み、郵送で申し込みの両方でわからないことがあれば、日本財団 で電話リレーサービスの問い合わせフォームから質問することができます。
【参照】きこえない人等へ 登録方法|日本財団 電話リレーサービス https://nftrs.or.jp/register/
まとめ

日本財団の電話リレーサービスは、スマートフォンやタブレット、PC、固定電話で利用することができて、日常会話から緊急通報時に利用することで、オペレーターが手話や文章で通訳してくれるサービスです。
ご紹介したように、申し込み方法や利用方法は簡単で、動画でも解説されているのでぜひ参考にしてみてくださいね。