全国から聴覚障害者の方や関係者らが集まり、数日間にかけて開催される祭典があるのをご存じですか?
「全国ろうあ者大会」と呼ばれる大会は、当事者による聴覚障害者のための祭典になっており、2022年に開催された全国ろうあ者大会では、秋篠宮皇嗣殿下がスピーチをされました。
今回は、全国ろうあ者大会とは?2022年6月に開催された、第70回全国ろうあ者大会inひろしまの様子と、秋篠宮皇嗣殿下が述べられたスピーチの一部、そして全国ろうあ者大会に参加する方法を詳しく解説していきます。
全国ろうあ者大会とは?

聴覚障害者のコミュニティーは非常に少なく、なかなか同じ障害を抱えている方同士が知り合うことができないので、コミュニケーションがとりづらいのが現状です。
また、直接聴覚障害と福祉に関する施策を見聞きすることができる場というのは貴重です。
全国ろうあ者大会は、聴覚障害当事者による、当事者のための大会となっており、さまざまな催し物が開催される1年に1度の大きな祭典とも言える大会です。
ここからは、全国ろうあ者大会とは?2022年に開催された大会の様子と、全国ろうあ者大会に参加する方法について解説していきます。
毎年6月に2,000〜3,000名が集う大きな集まり
全国ろうあ者大会とは、毎年6月に全国持ち回りで開催される大会のことです。
全国からろう者や手話関係者など2,000〜3,000人が集う大きな大会で、全日本ろうあ連盟の運動方針を決める評議員会や、聴覚障害者が抱える課題を学び、そして広める研究分科会、さらにろう者が製作した絵画などを展示する美術展・写真コンテスト、聴覚障害に関するバリアフリー点などが併催されます。
主催する全日本ろうあ連盟は、全国47都道府県に参加団体を擁(よう)する全国唯一の聴覚に障害を抱える当事者が主体となった団体です。
聴覚障害は見えない障害なので、なかなか理解してもらうことが難しいという現実があります。
- 手話通訳の認知・手話通訳事業の制度化
- 聴覚障害を理由とする差別的な処遇の撤廃
- 聴覚障害者の社会参加と自立の推進
2022年は広島県で開催された
2022年の全国ろうあ者大会は、広島県広島市内で開催されました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、3年ぶりの全日本ろうあ者大会となった今大会では、約2,200名もの参加者が集いました。
第70回目となった「全国ろうあ者大会inひろしま」では、大会宣言、大会決議が掲げられて、大会式典、アトラクション、聴覚障害者に関わる研究分科会、青年のつどい、日帰りツアー、演劇祭典、写真コンテスト、バリアフリー展など、さまざまなイベント展示が催(もよお)されました。
また、第70回全日本ろうあ大会には、秋篠宮皇嗣妃殿下(あきしののみやこうしひでんか)がご臨席されました。
第70回の全日本ろうあ者大会で、厚生文化賞や主幹団体表彰を受けられる方へ祝辞を述べられた他に、今大会のテーマ「手から手へ 70年の過去、現在、未来」をテーマに、研究分科会において話し合われた「手話言語」「国際」「災害」「情報アクセス」について、以下のように述べられています。
「(中略)「災害」と「情報アクセス」については、喫緊(きっきん)の課題だと思います。これまで全国の各地では、台風や豪雨、自身など、自然災害にたびたび見舞われてきました。そのような状況下においては、きこえない人、もしくはきこえにくい人たちは、情報を入手することに困難が生じ、大変不安なときを過ごすことが多かったことと推察(すいさつ)いたします。災害時に誰もが等しく情報を入手し、コミュニケーションをとることができるような環境の整備は、誰一人取り残されることのない社会を築いていくために不可欠なことであると考えます」
これまでは、きこえない人、もしくはきこえにくい人は支援される側という立ち位置でしたが、近年ではろう者ボランティアセンターの立ち上げなど、支援される側から支援する側へと立場を転換したことに対して、秋篠宮皇嗣殿下は「大変心強い想いをいたしました」とも述べられています。
全日本ろうあ者大会の参加方法
2023年6月8〜11日に開催される、第71回全国ろうあ者大会は大分県別府市内にあるビーコンプラザで開催されることが決定しています。
全国ろうあ者大会への参加は事前予約制になっており、地域のろうあ協会に申し込むことで予約することが可能です。
2022年に広島県で開催された全日本ろうあ者大会では、ホームページからダウンロードできる「案内申込書」の最後にある、「申込書(一般個人・評議員・盲ろう者用)」に必要事項を記入して、第一希望の金額と大会参加費代金の全額を添えた上で、自身が所属する加盟団体を通じて、東武トップツアーズ(株)の支店へ申し込みとなっていました。
予約できるコースは複数あります。
代金 | 内容 | |
日帰りツアー | 3,500円/大人1人 | コース1:瀬戸内の美しい島、お手軽宮島コース コース2:情緒あふれる町並み散策でタイムスリップ気分♪西条・竹原コース コース3:軍港 呉の秘密を探る大和ミュージアム見学コース コース4:平和の街ヒロシマを知る、ピースツーリズムコース |
青年のつどい | 2,000円 | 伝承講話、ブース展示 平和記念資料館の見学 |
第33回 全国ろうあ者演劇祭典 | 2,000円 | 演劇 |
前夜祭 (交歓パーティー) | 8,000円 | 氷彫刻 広島&手話クイズ |
第70回全日本ろうあ者大会 | 5,000円 | 式典 アトラクション 引き継ぎ式 |
託児 (0〜6歳までの乳幼児 小学1〜6年生の児童) | 1,000〜2,000円 | 日程によって料金や託児場所が変動。 また、連盟評議員のお子様のみ対象の日と、一般参加者のお子様可の日が異なるので要事前確認 |
ちびっこランド (小学3〜6年生の児童) | 2,000〜3,000円 | 日程によって料金や場所・内容が変動 |
観光コース | 30,000〜38,000円 (5名1室〜1名1室) | Aコース:「安芸の宮島」と日本三名橋の1つ、錦帯橋満喫コース Bコース:軍港の街 呉めぐりコース Cコース:瀬戸内のノスタルジックな港町、尾道・鞆の浦満喫コース |
上記コース名や代金・内容は2022年の広島で開催された全日本ろうあ者大会のものですが、非常に豪華なスケジュールになっており、「観光コース」では手話ガイドが同席すると記載されています。
2022年の全国ろうあ者大会inひろしまでは、締め切り日が4月上旬となっているので、こまめに情報を確認しておくようにしましょう。
まとめ

全国ろうあ者大会では、聴覚障害者の方のための祭典になっている大きな大会なので、全国の聴覚障害者の方と直接コミュニケーションが取れる他に、作品を見たりすることができます。
参加するためには事前予約が必須となっており、申し込み締切が4月上旬頃となっているので、余裕を持ったスケジュール決めと申し込みを行うようにしましょう。