聴覚障害者に関する団体はさまざまあります。
そのなかでも今回ご紹介する「全国手話通訳問題研究会」は、聴覚障害者と手話通訳者に関する事業を日本国内にとどまらず、世界に行っています。
では、全国手話通訳問題研究会とはどのような団体なのでしょうか?
今回は、全国手話通訳問題研究会とは?事業内容や会員になるメリットについて解説していきます。
全国手話通訳問題研究会とは?

京都府京都市に本部を構える全国手話通訳問題研究会は、全国に支部を構える大きな団体です。
聴覚障害者をとりまくさまざまな問題に目を向けて、聴覚障害者や手話通訳者のために、啓発や学習などの活動を実施しています。
ここからは、全国手話通訳問題研究会の取り組みとして、2022年度の事業計画の一部と、国際活動について解説していきます。
聴覚障害者が抱えるさまざまな問題を一緒に考える
全国手話通訳問題研究会(全通研)とは、聴覚障害者福祉と手話通訳者の社会的地位の向上を目指して、手話や手話通訳、聴覚障害者問題について研究や運動を行う全国組織です。
全国47都道府県全てに支部を設置しており、聴覚障害者団体と共に、地域の福祉向上のための活動や学習をおこなっている団体です。
国民の収入減や負担増、新型コロナウイルス感染症の影響によって、抑制された直接対面によるコミュニケーション・仲間同士の会話や社会参加場面による手話通訳の制限とコミュニケーションの困難などを問題提起して、2022年度の全国手話通訳研究会では以下のような事業計画を提案しています。
- 情勢を分析して全国手話通訳問題研究会の主張を積極的に提起
- 「対面」重視と平行して、ICTの積極的な活用
- 雇用された手話通訳者の労働と健康の調査・正規雇用の拡大
- 全国手話通訳問題研究会の考え方をわかりやすく発信
上記の事業計画から、「きわめる」「たかめる」「はたらきかける」の3つの事業計画を計画しています。
日本だけではなく国際活動も行っている
きわめる | たかめる | はたらきかける |
手話通訳者の健康問題への取り組み 研究活動強化事業 手話通訳活動あり方検討委員会の取り組み | 組織拡大の取り組み 第55回全国手話通訳問題研究集会〜サマーフォーラムinいばらき〜の開催 全通研Webアカデミー&Webオープンスクールの開催 講師派遣事業 研究誌「手話通訳問題研究」の発行 | 手話通訳制度の改善 手話関係者の健康を考える3団体委員会の取り組み 機関会議の開催 広報活動の強化 出版活動 自治体業務・政策研究委員会の取り組み |
前述したように、全国手話通訳問題研究会では、上記のように「きわめる」「たかめる」「はたらきかえる」の3つの事業を計画しています。
また、日本国内に限らず、国際活動に視野を広めて事業を行うことも計画しています。
- 国際手話通訳者協会(WASLI)が発信している情報を翻訳して会員に提供
- 「手話通訳問題研究」を英訳して、全通研の活動を世界に提供
- アジア手話通訳者に財政支援
- 全通研の国際活動を紹介するために「全通研国際部ニュース」の発行
- WASLI理事会やアジア地域のろう通訳アドバイザーと協力した学習支援 など
2022年度においても、新型コロナウイルス感染症対策をとりつつ、通常の活動に近づけてこれらの事業計画を実施していくそうです。
2024年度には50周年記念事業を予定している
全国手話通訳問題研究会は、1974年に発足してから2024年に創立50周年を迎えます。
創立50周年の記念事業に向けて、全国手話通訳問題研究会の歴史を振り返り、理念を会員と 共有しながら社会全体へアピールするとともに、今後のさらなる組織拡大と活動の充実を目指すこともかねて、2022年度の事業を実施していきます。
【参照】2022年度活動計画|一般社団法人 全国手話通訳問題研究会 https://www.zentsuken.net/outline/pdf/2022plan.pdf
全通研の会員になることでさまざまなメリットがある

1974年に発足した全国手話通訳問題研究会は、1人の職員からスタートして、現在では会員数1万人、46支部を有するまでに拡大しました。
全国手話通訳問題研究会の会員になると、さまざまなメリットがありますが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここから、全国手話通訳問題研究会の会員になるメリットや、会員になる方法について解説していきます。
機関誌や学習会案内などが届く
全国手話通訳問題研究会の会員になることで、「手話通訳問題研究(研究誌)」を年に4回、「全通研会報」を年に1回、また支部ごとの機関誌や学習会の案内などが届きます。
全国規模の学習会としては、毎年8月に開催される「全国手話通訳問題研究会〜サマーフォーラム〜」と、「全通研アカデミー〜全通兼学校Ⅲ〜」を毎年全国3つの会場で開催しています。
さらに、手話や手話通訳、聴覚障害者の問題を多くの方に理解してもらうために、各種の書籍を出版しているので、ホームページから購入することも可能です。
会員になるにはお住まいの各支部に問い合わせしよう
全国手話通訳問題研究会は、全国を9ブロックにわけて、47都道府県が地域に根付いた活動を行っています。
例えば大阪支部では、「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」や「労働フォーラムin大阪」の開催。東京支部では、年8回の定期学習会や、有料講座の開催を実施しています。
全国手話通訳問題研究会に入会するためには、お住まいの各支部に問い合わせを行う必要があります。
各支部事に会則が設けられており、入会するための条件として、「支部がある都道府県に在住・通勤・通学している」「手話や手話通訳・聴覚障害者の諸問題に関心がある」「会則の目的に賛同する健聴者」など、さまざまな条件が定められています。
会費は多くの支部で年10,000万円になっており、郵便振替、もしくは各支部で開催する学習会や集会などで直接支払います。
同じ世帯に全国手話通訳問題研究会の会員が居れば、「家族対応割引き」を受けることができるので、詳しくは各支部に問い合わせてみましょう。
【参照】よくある質問|全通研東京支部 http://www2.odn.ne.jp/toutsuken/faq.pdf
まとめ

全国手話通訳問題研究会は、聴覚障害者や手話通訳者が抱える諸問題について改善し、より暮らしやすくするために活動を行う団体です。
日本国内にとどまらず、国際活動も行っている大きな団体で、全国47都道府県に各支部を設置しています。
全国手話通訳問題研究会に入会することで、会報誌を受け取ることができる他に、学習会などのイベントに参加することができます。
全国手話通訳問題研究会の入会は、条件や会費などを確認した上で、各支部に問い合わせを行いましょう。