手話の検定試験には、手話技能検定の他に「全国手話検定試験」があります。
全国手話検定試験に合格することで、履歴書でアピールできるほどの手話能力を身につけることができるので、今後のキャリアアップに役立つと話題になっています。
今回は、この全国手話検定試験について、試験内容や難易度、役立つシーン、受験方法について解説していきます。
全国手話検定試験とは?

全国手話検定試験は、一般社団法人 全国手話研修センターが実施する手話能力を測る試験のことです。
6つの段階にわけて実施される本試験では、手や指を使った手話の他に、頭や表情、口、上体など視覚的に伝えることができるのかを評価されます。
ここからは、全国手話検定試験では何をするの?難易度や活用できるシーンについて解説します。
全国手話検定試験では何をするの?
全国手話検定試験では、手話でのコミュニケーション能力を評価する検定試験を実施します。
手話の知識だけではなく、面接委員と手話で会話することで、ろう者と手話でどのくらいコミュニケーションができるのか評価・認定を行います。
手話は手や指の他に、頭、表情、口、上体などの動きも使って言葉を視覚的に表現する必要があるため、手話固有の文法構造を持つために、体系的に身につける必要があります。
全国手話検定試験では、段階を追って受験級を高めていくことで、指文字から手話での表現や会話など、自然とレベルアップすることができるので、初心者から上級者まで受験することができます。
全国手話検定試験の難易度
全国手話検定試験では、5級、4級、3級、2級、準1級、1級までの6段階の等級にわけて試験が実施されます。
- 5級…ろう者との会話に興味を持ち、自己紹介を話題に手話ができる程度
- 4級…ろう者と会話をしようとする態度をもち、家族との身近な生活や日常生活の体験を話題に手話で会話ができる程度
- 3級…ろう者と積極的に会話をしようとする態度をもち、日常の生活体験や身近な社会生活の体験を話題に手話で会話ができる程度
- 2級…ろう者と積極的に会話をしようとする態度をもち、社会生活全般を話題に手話で平易(へいい)な会話ができる程度
- 準1級…ろう者と積極的に会話をしようとする態度をもち、社会生活活動の場面を話題に会話ができ、かつ一部専門的な場面での会話ができる程度
- 1級…ろう者と積極的に会話をしようとする態度をもち、あらゆる場面での会話を話題にし、よどみなく会話ができる程度
上記の6段階のレベルごとに、実技試験や筆記試験が行われます。
全国手話検定試験合格で活用できるシーン
2021年5月に、障害者の方への合理的配慮の提供を民間事業者にも義務づける「障害者差別解消法」の改正案が成立したことで、病院や福祉施設、自治体の公的サービスの他に、金融機関や携帯電話会社、損保会社などの受付や窓口業務に、手話で対応する企業も増えています。
また、2025年にはデフリンピックが東京で開催されることが決定していることから、手話や国際手話ができる人材は非常に重宝されます。
今後、就職活動や転職のアピールポイントとして手話を学ぶ方も増えていて、キャリアアップのひとつに手話が選ばれることもあります。
全国手話検定試験の各レベルに合格することで、履歴書に書ける経歴となるので、今後望まれる人材になることでしょう。
全国手話検定試験を受験する方法

全国手話検定試験を受験するためには、事前に申し込む必要がある他に、勉強も欠かせません。
ここからは、全国手話検定試験の流れや申し込み方法、試験の種類、勉強方法について解説していきます。
全国手話検定試験の流れ
- 6月上旬〜8月上旬…受験申し込み
- 9月…受験票発送
- 10月…受験
- 12月…合否結果発表
全国手話検定試験の流れは、上記4つの段階を踏むことが一般的ですが、インターネット試験も実施されているので、この場合は2月に試験が実施されます。
全国手話検定試験の受験申し込み方法は、全国手話検定試験ホームページ上、もしくはコンビニ申し込み、郵便申し込み、団体申し込みがあります。
最も手軽なのが全国手話検定試験ホームページ上から、「キャリタス資格・検定」より申し込みを行う方法です。
2022年度の試験では、8月1日から申し込み開始となっていたので、今後全国手話検定試験を申し込む方は、8月上旬には受験申し込みを済ませるようにしましょう。
一般 | 小中学生 | |
5級 | 3,850円 | 2,200円 |
4級 | 4,400円 | 2,750円 |
3級 | 4,950円 | 3,300円 |
2級 | 6,600円 | 5,500円 |
準1級 | 7,700円 | 6,600円 |
1級 | 8,800円 | 7,700円 |
申し込みの際に、車椅子での受験や、難聴者用説明資料が必要な場合は、申込書に記載、もしくは特別配慮申請用紙に必要事項を記入して、FAXやメールで事前に申請する必要があります。
また、WEB申し込み・コンビニ申し込み時にも、特別配慮欄へ必要事項を入力することが可能です。
全国手話検定試験の種類
全国手話検定試験は、一般試験の他にインターネット試験の2種類があります。
一般試験では、全国18都道府県に設置された指定試験会場で試験を受けます。
2022年度の試験では、試験会場の変更があったため、試験会場決定後もこまめに情報を確認するようにしましょう。
一方でインターネット試験では、パソコンを使用して在宅で試験を受けることができるので、最寄りの試験会場が遠い場合や、ハンディキャップがある方におすすめです。
動作するのはGoogle ChromeとMicrosoftEdgeのみなので、これら以外のブラウザを使用している方は、事前にインストールするようにしましょう。
全国手話検定試験の勉強方法
全国手話検定試験の勉強方法は、いくつか方法があります。
まずは、全日本ろうあ連盟本部・京都支部、一般社団法人 全国手話通訳問題研究会本部などが発行している公式参考書を購入して勉強する方法があります。
2022年度版の参考書では、全42冊の参考書がオンラインショップで購入できるようになっており、各レベルに応じた参考書になっています。
【参照】学習教材|全国手話検定試験 https://kentei.com-sagano.com/learning/
また、実技試験に合格するためには、実際に手話を学べる手話サークルや、手話が飛び交うろう者が経営する店舗で学ぶ豊富があります。
実際にろう者と手話でコミュニケーションを行うことで、体を動かして手話を学ぶことができるので、手話が身につきやすくなります。
まとめ

全国手話検定試験に合格することで、5級であっても履歴書に書くことができるようになるので、就職活動や転職の際にアピールできる経歴となります。
今後、手話ができる人材の需要はますます増えることが予想されているので、手話ができるというアピールができるように、手話の検定試験を受けておくと良いでしょう。
全国手話検定試験は、試験会場に出向いて受験する方法と、在宅でインターネット受験する方法の2つの試験方法があります。
遠方で最寄りに試験会場がない場合や、ハンディキャップを抱えている方は、インターネット受験が手軽でおすすめです。
申し込み方法もWEBで完結させることができるので、受験までの手続きは非常にスムーズな試験と言えるでしょう。