おいしいコーヒーやフードが楽しめることで、日本でも親しみのある存在になっているスターバックス。
そのスターバックスが、東京都国立市(くにたちし)に2020年6月27日に、聴覚に障害のある従業員を中心に、主なコミュニケーション手段として手話を使用して運営する「スターバックスnonowa国立店」をオープンしました。
この店舗では、聴者と聴覚に障害のあるパートナーが共に働き、さまざまな人々が自分らしく過ごして活躍できる居場所の実現を目指しています。
「無限の可能性(Infinite Possibilities)」をコンセプトに、障害のある方が夢や未来を描ける場所であるスターバックスnonowa国立店では、オープンまでどのようなストーリーを辿ったのでしょうか?
今回は、スターバックスnonowa国立店がオープンするまでの経緯(けいい)や、店舗で工夫されている点についてご紹介いたします。
「無限の可能性」手話が共通言語のスターバックス

スターバックスの企業理念には、「誰でも受け入れる」というものがあります。
スターバックスは2020年に東京・国立に、聴者と聴覚障害者が共に働き、聞こえる・聞こえないに関係なく気軽に利用できる「サイニングストア」をオープンしました。
スターバックスnonowa国立店では、誰も安心して利用できるようになっており、従業員であるパートナーのほとんどが聴覚に障害を抱えています。
しかしスターバックスnonowa国立店で働くパートナーは、みんな常に笑顔で生き生きとしているのが印象的で、無限の可能性をめいっぱい発揮しているように感じました。
ここからは国内唯一のサイニングストア(2022年5月時点)スターバックスnonowa国立店がなぜオープンしたのか、サイニングストアではどのような工夫がされているのかについて詳しく解説していきます。
聴覚に障害のあるスタッフの発案でオープン
スターバックスがはじめてサイニングストアをオープンしたのは、2016年マレーシアでのことでした。
その翌年の8月に開かれた、スターバックスCEOと聴覚に障害を抱える従業員(パートナー)との会議で、「日本でもサイニングストアをぜひ作りたい。そこで働いて成長していきたい」という声が挙がりました。
この声から着々とプロジェクトが進められていき、聴覚に障害のあるパートナーの発案から3年半後、東京・国立に日本初となるサイニングストアがオープンしました。
聴覚に障害があることに配慮された設備
スターバックスnonowa国立店は、サイニングストアとしてオープンしていますが、店舗の外観から内装まで従来のスターバックスと変わりなく、何も知らずに入店するお客さんも多いそうです。
オープンから半年間は半数ものお客さんがサイニングストアだと知らずに入店しており、「なんだかレジで通じ合わないな」と感じながらも、それで帰る人は居ませんでした。
「こういうお店なのか」と気づいて、「よいお店だね」と声をかけるお客さんが多く、特に外国から来たお客さんは直接パートナーに伝えることが多かったそうです。
外観・内装は従来のスターバックスと変わりありませんが、nonowa国立店で働くスタッフのほとんどが聴覚に障害を持つパートナーということもあり、設備が聴覚障害に配慮されています。
音ではなく振動で知らせるタイマーや、デジタルサイネージに番号を表示して商品提供を案内する装置の開発など、オープン前に試行錯誤してサポートツールとして使えるガジェットを試した成果が見受けられます。
音声や指さし、筆談での注文も可能
nonowa国立店では聴覚に障害を抱えるパートナーが多く働いていますが、パートナーは聴者のみが働く店舗の協力で、聴覚に障害がある・ない関係なく、同じスターバックスのパートナーとしてトレーニングを受けています。
そのなかでnonowa国立店はIT機器を活用して、振動や画面表示などで全パートナーに「今なにが起きているのか」がわかるように配慮されています。
さらに利便性にとらわれないコミュニケーションも重要と考えているので、筆談やメニュー表への指さし、現在はあまり活用されていませんが音声入力による注文も可能になっています。
スターバックスnonowa国立店は、聞こえる・聞こえないに関係なく、どんな人たちも安心して利用できます。
スターバックスnonowa国立店へのアクセス

スターバックスnonowa国立店は駐車場がないので、公共交通機関を利用して店舗まで足を運ぶ必要があります。
ここからはスターバックスnonowa国立店へのアクセス方法と、スターバックスnonowa国立店で利用できるサービス、「Moile Order&Pay」の利用方法について解説していきます。
スターバックスnonowa国立店へのアクセス方法
JR中央本線「国立駅」北口から徒歩1分、南口からの場合は徒歩2分でスターバックスnonowa国立店に行くことができます。
住所
〒186-0001
東京都 国立市北1-14-1 nonowa国立
営業時間:7:00〜22:00
定休日:不定休
店舗詳細ページはこちら
Googleマップで「スタバ nonowa国立」で検索すると表示されるので、Googleマップを使用してアクセスすると便利です。
スターバックスnonowa国立店で利用できるサービス
スターバックスnonowa国立店では、「STARBUCKS」「docomo」「au」「SoftBank」「Wi 300」の公共無線LANを利用することができます。
各テーブル袖面4カ所に2口のコンセントがあるので、パソコンやタブレット・スマートフォンを充電することが可能。
スターバックスの独自サービス「Mobile Order&Pay」も利用できるので、事前に注文しておいて、受け取り時間になったらスターバックスnonowa国立店まで受け取りにいくことも可能です。
「Mobile Order&Pay」の利用方法は、事前に公式アプリをダウンロード、もしくはWEB上の専用サイトから利用することができます。
スターバックスnonowa国立店を選んで、待ち時間を確認後、「TO GO(お持ち帰り)」「店内飲食」のいずれかを選びます。
その後、あなたが欲しいドリンクやフードを選んで、右下の「決定する」を選択。
オーダーの際にはニックネームが必要なので入力するようにしましょう。
最後に注文内容を確認して、「利用規約に同意の上、決済する」を選択、決済完了後に受け取り番号やニックネームが表示されるので、受取時間になったらスターバックスnonowa国立店まで受け取りに行きましょう。
【参照】Mobile Order&Pay|STARBUCKS https://www.starbucks.co.jp/mobileorder/guide/
まとめ

すっかり「私たちの身近なコーヒー屋さん」になっているスターバックスですが、東京都国立市で聴者と聴覚に障害のあるパートナーが働くスターバックス「サイニングストア」がオープンしました。
手話での注文はもちろん、メニュー表を指さしで注文したり、筆談での注文や、音声入力での注文が可能です。
商品が提供される際は、振動で知らせてくれる機器や、画面に番号が表示される仕組みになっているので、聞こえる・聞こえない関係なしに利用することができます。
外観や内装、無線LANサービスの提供など、従来のスターバックスと変わらないので、誰でも気軽に利用して、癒やしのひとときを楽しむことができることが嬉しいですね。